予定日よりも1か月程早く破水してしまった為、出産に向けて、陣痛促進剤の点滴を受けていたてんしょう。
破水し、羊水にバイキンが入ってしまうといけないので、早めの出産になります。
陣痛促進剤の点滴だけでは、陣痛が来てもすぐにおさまってしまったので、点滴をぶら下げるスタンドに掴まりながら、部屋の前の廊下を歩き回りました。
歩き回っていると、他の妊婦さんとすれ違います。
" みんな、頑張ってるんだな。" と思いながらも、てんしょうの油断から、早産で生まれてこなくてはいけなくなったプリ江を思うと、申し訳ないという気持ちになっていました。
入院して3日、陣痛促進剤を打ち続けても、陣痛が定着せず、" やっぱりまだ、プリ江は出てきたくないのかな。" と思ったりしていました。
4日目の朝、早く目が覚めました。
「 今日は、きっと生まれる。」
何だかそんな、確信みたいなものを感じていました。
そしてカーテンを開け、昇っていく朝日を写真におさめていました。
廊下に出ようと顔を出すと、担当してくださっている先生が通り掛かられました。
てんしょう 「 先生、おはようございます。」
産科先生 「 おはようございます。
陣痛促進剤、3日続いたので、今日一日お休みしましょうか。」
てんしょう 「 私は大丈夫ですっ!
先生、今日もお願いしますっ!」
必死でした。
今日は生まれるという確信があった事、破水が先だったので、早くプリ江を産みたいと思っている事、ママがいない事にショックを受けているプリ子の事を考えていました。
先生は笑いながら、" 分かりました。では、後ほど。" と仰って、部屋の前を通り過ぎていかれました。
てんしょうは、" 今日は絶対にプリ江は生まれる!プリ江、ママ頑張るから、二人で頑張ろうね!" と、お腹に手を当てました。
昨日までと同じ様に、点滴のスタンドに掴まりながら、廊下を何往復もすると、陣痛が段々と定着してきて、間隔も短くなっていきました。
部屋に戻り、看護師さんにその事を伝えると、陣痛室へと移動する事になりました。
それと同時に、看護師さんがパパ夫に連絡を入れてくださり、パパ夫と母ヨキとプリ子が来てくれました。
いつもパパ夫の仕事が終わると、3人で来てくれて、前日位から、プリ子もママのいない生活に慣れてきた様でした。
母ヨキもパパ夫も、プリ子が少しでも寂しい思いをしない様にと、常にどちらかがプリ子の側にいてくれたお陰で、プリ子の顔も穏やかに見えました。
手を差し伸べながら、トコトコとてんしょうの側にやって来るその小さな存在に、大きな愛を覚えました。
「 プリ子、ありがとう。ママ、頑張るね。」
陣痛を堪えながら、プリ子を抱きしめました。
明日に続きます。
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