「 ーーー その昔、この寺からすぐの村に、女は住んでおりました。


女には、幼い娘がおりました。

女とその夫は、それはそれは可愛がっていたそうです。


ある時、女が目を離した隙に、その幼い娘が姿を消してしまいました。

女と村の人々は手分けをして、娘を探しましたが、見つかりません。

女は日が暮れても必死になって探し回りましたが、見つからないのです。


女の夫も探していましたが、夜も更け、これ以上探すのは危険だと村の人々に言われ、夫は女を連れて、泣く泣く家で夜明けを待つ事にしました。

ですが、女は我が子を思うと探さずにはおれず、夜が明ける前、夫が疲れて居眠りをしている間に、一人で探しに出ていってしまいました。


女は、山の中へと入っていきました。

娘が山で迷っているかもしれないと思ったのでしょう。




夜が明け、夫は女がいない事に気付き、村の人々に聞きましたが、誰も女の行方を知りません。


夫は、村の人々と共に、娘と女を探し回りました。


半日もすると、". 女が見つかった " と言う村の人が、山から下りてきました。

女は山の中腹で足を滑らせ、崖から落ちて、命を落としてしまいました。

村の人々が総出で女を引っ張り上げ、何とか村まで担いで下りてきました。

そして、村のはずれに墓をたて、弔いました。


その後、夫は気を落としながらも娘を探しましたが、結局見つかりませんでした。

村の人々は、人さらいだとか、神隠しだとか言っておりましたが、定かではありません。


そんなある日の夜中、村の人が、遠くで聞こえる女の声で、目が覚めました。

あの女の、娘を呼ぶ声です。


村の人々は、女の魂がまだ娘を探しているのだと、気の毒に思い、この寺に、女の魂を成仏させてほしいと言ってきました。


この寺のその時の和尚は、女の魂を憐れに思い、女の魂を呼び出しました。

そして女の魂に念仏を唱え、そして、その女の魂の為に用意した、幼い子どもの姿の人形を与えました。


女の魂は夜中になると、その人形に会いに来ていたそうです。

随分と昔の話ですが・・・。

その後も、人形はそのまま置いてありますが、今も女が来ているとは・・・。」


和尚さまは、改めて供養が必要だと思いました。


若い男性も、その女の魂と、行方知らずになった娘の魂を哀れに思い、成仏する様、本堂の仏様に手を合わせました。



本堂の仏様は、穏やかな優しいお顔で佇んでいらっしゃいました。



おしまい。




このお話は、仏様からお聞きしたお話です。

昔にあったお話だそうです。

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