てんしょうの実家の近く、100メートル程先には、踏切があります。
小さい頃はよく、踏切の近くまで電車を見に行って手を振ったり、窓から踏切が見えるので、踏切の警告音が聞こえると、窓を開けて電車が走っていくのを見たりして、それが日常の風景でした。
ある日、その踏切の方に向かって歩いていました。
踏切の警告音が鳴り出し、遮断機が下りました。
踏切から少し離れた所で、その電車を見送っていました。
先頭の電車を見ると、回送となっていました。
回送なので、電気は消され、車内は薄暗くなっています。
2両目が通り過ぎようとしていた時です。
2両目の真ん中程の席に人影が見えました。
薄暗い車内の中に、俯き加減で座っているのです。
髪の長い女性に見えました。
幼い頃に聞いた話を思い出しました。
同じ線路の何処かの踏切で人身事故があり、女性が一人亡くなっていました。
背筋が寒くなりました。
駅構内やホームなどには、未成仏の魂が多くいる様です。
自分が亡くなっている事に気付かず、他の通勤客と一緒に、混んだ電車に乗り込み、仕事場へと向かうのです。
亡くなっても尚、仕事に追われる魂。
現代社会を表している様です。
今のままの日本社会では、こういった未成仏の魂が増えていくのではないかと思います。
国民皆が暮らし良い日本。
やはり何千年も待たないと、望めないのでしょうか。
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