4月。
病室に眠るハナちゃんの側には、ハナちゃんの両親が寄り添っていました。
「 パパ、明日は何の日か、覚えてる?」
「 ハナの誕生日だろ?忘れてないよ。」
「 ありがとう。明日、ケーキを買ってきて、お祝いしましょうよ。」
「 そうだね。ハナは6才になるのか・・・。」
「 ハナ、来年は小学生になるのよ。
・・・ハナ、早く目を覚まして・・・。」
ハナちゃんのママ、サキさんがハナちゃんの小さな手を、優しく握りました。
「 !!・・・ハナちゃん?!」
「 サキ、どうした?」
「 今、ハナの手を握ったら、ほんの少しだけど、握り返してきた様な気がしたの!」
「 そっ、そうなのか?」
「 パパ、そっちの手を握ってみて!」
「 えっ、おぉ。」
「 どう?」
「 ・・・あぁ、握った・・・、握り返した!
看護師さん呼んで!」
「 うん!」
看護師さん 「 どうされましたかー?」
サキ 「 ハナの意識が戻ってるみたいなんです!」
パパ 「 手を握ったら、握り返してきたんです!」
看護師さん 「 ちょっと診せてくださいね。
・・・ホントだ・・・先生を呼んできます。
待っててくださいね!」
医師 「 ハナちゃん、診せてもらいますね。」
サキ 「 ハナ、手を握り返してきたんです。」
医師 「 そうですか・・・。
ハナちゃん、先生の声、聞こえるかな?」
サキ 「 ハナ、聞こえる?
聞こえたら、おてて、動かしてみて。」
先生は、ハナちゃんの手の動きを確認されました。
医師 「 お父さん、お母さん、ハナちゃんの意識は戻っていますね。」
サキ 「 ありがとうございます、先生!」
パパ 「 先生、ありがとうございます!」
医師 「 急には動けないと思いますが、少しずつ、食事もできるようになると思いますよ。
慌てずに、ゆっくり、体を戻していきましょう。」
両親 「 はい!ありがとうございます!」
神様と天使さんのおじいちゃんは、その様子を天井からご覧になっていました。
神様 「 もう大丈夫ですよ。
医者が言うように、じきに口から食べる事もできる様になります。
来年は、ランドセルのハナちゃんを見られますよ。
私はもうしばらく、ハナちゃんにチカラを授けます。
そうですね、あと1か月もすれば、退院できましょう。」
おじいちゃん 「 神様、ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます・・・。」
天使さんのおじいちゃんは涙を流しながら、ハナちゃん達を見守り続けました。
明日に続きます。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。