4月4日、午前中に実家を出ることにしました。

帰る前にもう一つ、寄りたい所があった為です。



ズミさんとテツ君が、車で駅まで送ってくれました。

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テツ君、朝から心なしか元気がありません。

それは、プリプリ姉妹も同じでした。

そして、私も。




駅のホームまで来てくれたので、いつも寝る前にしていた " 大好き抱っこ " をしました。


「 テツ君、大好き。」

「 うん。」


テツ君の小さな返事が、せつなくなります。


電車が来て、テツ君を腕から下ろし、プリプリ姉妹と電車に乗り込みました。


窓の外にはズミさんと、笑顔で手を振るテツ君がいました。

プリプリ姉妹とてんしょうも、笑顔を作って手を振りました。


電車が動き出し、テツ君の姿が小さくなっていきました。










電車は15分も走ると、目的地に着きました。


てんしょうが、最後に行きたかったところです。

2年半ほど前に会ったきり、亡くなってしまわれ天使さんになられた方が、今回のてんしょうの帰省が決まると、大切な人にメッセージを伝えてほしいと、てんしょうのところに来られていました。

その天使さんの大切な方に会いに行きました。


その方は自営でカフェをされているので、いつに行っても会えると思い、いつも事前の連絡はしないで、会いに行っていました。

今回もそうしました。


☆          ☆          ☆          ☆          ☆          ☆


結婚前、てんしょうはその方のカフェでバイトをしていた事がありました。



元々その方は、会社勤めをされていて、てんしょうもその同じ会社に勤めていた事がありました。


てんしょうより、20くらい先輩で、当時いろんな事を教えてもらいました。


てんしょうが入社して2年ほどで、その方は退職され、その後は連絡も取ってはいませんでした。


それから何年かして、てんしょうも会社を辞め、しばらくは自由に過ごそうと思っていた頃、いつもは見ない時間帯に、たまたまテレビを付けた時です。( この事も、たまたまではないとの事。神様談。)

テレビの画面に大きく、見知った顔が映りました。

インタビューを受けていた様ですが、その方が会社の先輩、今はカフェのママさんをしている方でした。


てんしょうは、その画面に映っているカフェの名前と場所をすぐにメモし、シャンパン ( 開店祝いのつもり ) を持って店に向かいました。


場所はすぐに分かりました。

駅から徒歩1分ほどの所だからです。



カフェのドアを開けると、ママさんがカウンターにおられました。

ママさんは、てんしょうの顔を覚えておられ、驚かれながらも、笑顔で迎えてくださいました。

そして、その時に一緒にカフェをなさっていたマスターが、今回てんしょうのところへ天使さんになって来られていた方です。


ヒマなら店を手伝ってと言われ、お世話になったバイト時代、よく仕事上がりに、マスターとママさんに食事に連れて行ってもらいました。


当時、マスターは60代後半位だったと思いますが、お元気で若々しく見えました。

ですが、大病を患った事があるというお話も聞いていました。



てんしょうが結婚して、何度か帰省した時も、その度にカフェへ、パパ夫と一緒にプリプリ姉妹を連れて行っていたのですが、いつも、マスターとママさんは笑顔で迎えてくれました。

そして、何度かプリプリ姉妹と一緒に、写真を撮らせてもらっていました。


今回、天使さんになられたマスターに、その時に撮った写真を、ママさんに渡してやってほしいと言われました。( この写真は後日、手紙と一緒に送ろうと思っています。)

そして、メッセージを伝えてほしいと言われました。


☆          ☆          ☆          ☆          ☆          ☆



2年半ほどぶりに、カフェのドアを開けました。

ママさんの顔が見えず、スタッフの方が席に案内してくれました。

上着を脱いで、イスに荷物を置いていたところに、ママさんが来られました。

スタッフの方が、前に来た時のてんしょうの事を覚えてくださっていて、休憩室から呼んできてくださったのでした。


ママさん 「 🌾さん ( てんしょうの旧姓 ) 、お久しぶり!

よく、来られましたね!

まあ、プリ子ちゃんとプリ江ちゃんも大きくなって!」

てんしょう 「 ママさんもお変わりなく。

ご無沙汰しておりました。」


この時すでに、ママさんの隣りには、天使さんのマスターがニコニコして立っておられました。

ですが、マスターが亡くなっておられる事を、ママさんから聞いている訳ではない為、言い出すきっかけを作れず、しばらく懐かしいお話をしていました。


マスターがおられた頃は、いつもマスターの淹れるコーヒーを頼んでいたのですが、マスターは既に天使さんになっておられるので、今回はてんしょうも子ども達に合わせて、アイスティーを頼みました。


この他に、子ども達にホットドッグやカフェオレなども出してくださいました。


帰り間際、お勘定をしようと、スタッフの方のところに行くと、その方はママさんを呼んでくださいました。


ママさんはお金を受けとってはくれませんでした。

「 そのかわり、また顔見せに来てね!

ここをもう一つの実家だと思って!」

と仰ってくださいました。


てんしょうは、ママさんの隣りで笑って頷くマスターの姿を見て、" 今しか話す時がない " と、切り出しました。


「 ママさん、今、マスターが・・・」

マスターの名前を出すと、ママさんの目に涙が溢れてきました。


ママ 「 ・・・ごめんなさいね。

・・・マスターの事、話してなかったね。」

てんしょう 「 マスター、今ママさんの隣りに
立っておられます。

ママさんの背中をさすっていますよ。

実は、ずいぶん前にマスターがてんしょうのところに来られて、ご自分が亡くなった事を伝えに来てくださいました。」


ママさんは、てんしょうのチカラの事を知っておられます。

ママさんは、マスターが亡くなった経緯と、その事で後悔があるというお話をされました。


「 マスターは、" 当時の事は忘れてほしい。楽しかった時の事を思い出してほしい。"って仰ってます。

ママさんの笑顔が好きだそうですよ。

" 病気で大変な事もあって、心配を掛けて申し訳なかった。でも、今はその時の辛さは忘れてしまった。いつも側にいるから、守っているから、前を向いていってほしい。" だそうです。

マスター、今もニコニコされていますよ。」


ママさんの顔に少し笑顔が戻りました。


マスターが亡くなってしばらくした時、心沈んでいるママさんを、カフェのスタッフの方とそのご主人が、京都の霊能者の方のところまで連れて行ってくれたというお話をしてくださいました。

その時のマスターもニコニコしておられたそうです。

ママさんも気晴らしにという思いで行かれたそうですが、霊能者の方のお話を聞いて良かったと言っておられました。


「 京都は遠いので、これからは、マスターとお話をしたくなったら、てんしょうにご連絡ください。

いつでもお待ちしておりますから。」


天使さんのマスターが、てんしょうに手を差し出されました。

てんしょうは握手をし、その手の上にママさんの手を持っていきました。


「 今ママさん、マスターの手の上に、手を置いていますよ。」

「 分からないな。」


マスターはニコニコしながら、ママさんの手の上にもう片方の手を重ねられました。





店を出ると、ママさんが見送りに出てきてくださいました。

新幹線で食べてねと、ジュースやお菓子など、たくさん持たせてくださいました。


ママさん「 ここを実家と思って、また帰ってきてね!」

てんしょう「 ありがとうございます。 

たくさんご馳走になってしまって、お土産までいただいて。

また帰ってきます。

ママさん、お元気で!」

プリプリ姉妹「 ママさん、ご馳走様でした。

ありがとうございました!」

ママさん 「 行ってらっしゃい!」

てんしょう・プリプリ姉妹 「 行ってきます!」




振り返ると、笑顔で手を振ってくださってるママさんの隣りに、同じく笑顔の天使さんのマスターが、手を振ってくださっていました。


「 🌾さん、ありがとう。」と。


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